会長挨拶

そばの人倫効果で集う会

大人の趣味といえば、ゴルフ・釣り・スキー・登山・バイク・将棋・囲碁など普遍的ですが、「そば打ち」を趣味にする人が最近増えてきました。

 

趣味とは遊びですから楽しく遊ぶことは言うに及びません。しかし、楽しさだけで長く続けることができるでしょうか。

 

 「そば打ち哲学」で石川文康氏は「そば粉を篩にかけ、捏ねて麺棒で伸し、最後に包丁を入れる、その作業は無理なく自然に全身を使う。その工程において、人は軽く汗をかく。これは体によい。この無理のない効率的な作業は、人体にとって最も基礎的な運動であり、先にあげた満足感と相俟って爽快感をもたらす。」と述べているように、他の趣味のような満足感や爽快感があるから長続きするのではないでしょうか。

 

そして、氏はその著書で、『そばにはなぜか、人を集める習性がある。』とも述べています。

 

『その証拠に、日本全国いたるところに「そば会」と称する会が数多く存在する。中には、定期的に機関誌を発行している会さえある。このような現象は他の料理や食べ物には、ほとんど見られない傾向である。同じ麺類でも、「うどん会」とか「ラーメン会」というのは寡聞である。和食にしても、中華料理にしても、洋食にしても同様である。

 

そのようなそば会のほとんどは、人気のあるそば店が主催して、いつもは賞味できない純度の高いそばや、変わりそばなどの珍しいそばを、会員に振るまうというスタイルで運営されている。

 

これらはいずれも、作られたそばを味わう、いわば受動態の会である。

 

ところが、自分たちでそばを打ついわば能動態の会が、これまた全国的に散見されるようになった。

 しかもそれは増加傾向にある。世の中にゆとりが出てきたという背景もあろう。自然食志向という背景もあるであろう。

 

ただ、どのような背景が考えられるにせよ、このような会に共通して言えることがある。

それは、利害を離れてそばをそばゆえに愛する人間の集まりだということである。

 

おもしろいのは、たかがそばごときに大の大人が虜になるということ、人生の酸いも甘いも知りつくした熟年層が、好んでそばに集うということである。

 

冷めた目で見れば、ばかばかしく映り、せいぜいユーモラ
スでしかない。

ところが、本人たちは生き生きしている。

 

このような現象に最もふさしいのは、そばの「人倫効果」という命名であろう。

 

 私たちは、そば打ちに魅了され、そばをこよなく愛する人たちが、そばの人倫効果で集う会です。

 

         小山手打ちそばの会 会長 武藤光男